友を想う詩! 渡し場
魅せられ語り継ぐ人々
高成田 享
新設:2020-06-01
更新:2022-10-31
ウーラント原作「渡し場」を語り継ぐ人々

略  歴
(たかなりた とおる) 1948年(昭和23年)~

昭和23年(1948)2月19日 岡山市で誕生

昭和46年(1971) 東京大学経済学部卒業
昭和46年(1971) 朝日新聞社入社 以後
山形、静岡支局を経て経済部記者、ワシントン特派員
テレビ朝日「ニュースステーション」キャスター
アメリカ総局長(ワシントン)、論説委員など歴任
平成20年(2008)1月~平成23年(2011)2月 石巻支局長(定年を機にシニア記者として)

平成23年(2011)4月~平成30年(2018)3月 仙台大学教授
平成23年(2011)4月~12月 東日本大震災復興構想会議委員(復興計画作成に参画)
平成23年(2011)4月 「東日本大震災こども未来基金(同年8月 NPO法人)」理事長

【著書・共編著】
『近代日本の万能人・榎本武揚 1836-1908』『さかな記者が見た大震災 石巻讃歌』など多数

【参考Webサイト】
 コラムニスト 高成田享の部屋   情報屋台
語り継ぎの足跡-1
佐藤征一郎は 平成18年(2006)5月28日に紀尾井ホールで開催された「第18回カール・レーヴェ全歌曲連続演奏会」の招待状を5枚松田昌幸に贈った。松田昌幸は、その内の1枚を小出健に贈り、一緒に「演奏会」に出席した。佐藤征一郎がドイツ語で「渡し場」を歌った。歌い終ったとき、小出健が突然立ち上がって、佐藤征一郎に向かって深々とお辞儀をした。

平成18年(2008)5月28日、第18回カール・レーヴェ全歌曲連続演奏会の開催会場「紀尾井ホール」にて、レーヴェ作曲「渡し」の日本初演奏を記念して声楽家佐藤征一郎を交えた写真
平成18年(2006)5月28日
第18回カール・レーヴェ全歌曲連続演奏会
開催会場「紀尾井ホール」にて
中央:佐藤征一郎、左:松田昌幸、右:小出健
写真提供:松田昌幸

たまたま、会場で小出の後方座席にいた高成田享(当時、朝日新聞論説委員)が「何か訳がある」と感じ、同年7月2日に松田昌幸宅で小出健を交えて取材を行い、平成18年(2006)7月6日付朝日新聞(東京版)「窓 論説委員室から」欄に『「渡し」にはドラマがある』を、次のとり掲載した。


東京の音楽会で不思議な光景を見た。ドイツ歌曲を多く作ったカール・レーベの演奏会で、声楽家の佐藤征一郎(さとうせいいちろう)さんが「渡し」という曲を歌い終わった瞬間、客席にいた老人がすっと立ち上がり、佐藤さんに深々とおじぎをしたのだ。

かって、この渡し船に同乗した友のうち、ひとりは静かに、もうひとりは戦いの嵐のなかで死んだ。その友を偲んで、3人分の船賃を船頭に払おう。そんな歌だ。

50年前の朝日新聞に、この詩の作者を知りたいという投書が載った。それに対して「学生時代に学んだドイツの詩人ウーラントの作品だ」と応え、私訳を添えた人がいた。客席にいた小出健(こいでたけし)さん(78)だ。

小出さんがこの歌曲を知ったのは、投書のいきさつを聞いて、この詩に興味を持った松田昌幸(まつだまさゆき)さん(69)からだった。松田さんはウーラントの詩が好きだったこともあり、調べるうちに、この詩がレーベによって作曲されていることを知った。松田さんが日本カール・レーベ協会の代表でもある佐藤さんに連絡をとったことで、音楽会を知り、ふたりとも出席したという。

「最初から強烈な印象の詩でした。音楽会では、あらためて亡くなった友人たちを思い出しながら聴いていたら、自然と立ち上がってしまいました」と小出さん。

「この詩を調べるうちに、いろいろの人たちがこの詩にかかわっていることを知りました。たまたま渡しに乗り合わせた旅人たちのようでしょう」と松田さん。

「渡し」の話は尽きない。 (高成田享)


【参考Webサイト】
 コロナの下 ドイツ歌曲を聴く from「情報屋台」

語り継ぎの足跡-2
「窓」の記事を読んだ志田忠正は、同年7月8日に高成田享に問合わせ、同年7月20日に高成田享と面会、高成田享の紹介で松田昌幸に同年7月22日連絡をとった。この間の同年6月3日に松田昌幸と丸山明好が虎ノ門パストラルで面会し、同年7月北原文雄は松田昌幸宅で小出健を交えて面会した。

以上の経過を踏まえ、朝日新聞の「窓」が媒介となった「絆」を深めるため、「第1回ウーラント同"窓"会」を同年8月16日に 高成田の計らいで プレスセンタービル内「アラスカ」で開催し、北原文雄、朽津耕三、小出健、小谷慈明、志田忠正、松田昌幸、丸山明好、高成田享が出席した。

高成田は 平成19年(2007)5月11日 学士会館で開催の「第2回ウーラント同"窓"会」にも出席

第2回「ウーラント同窓会」開催記念写真
平成19年(2007)5月11日開催
「2回ウーラント同窓会」参加者
後列左から、高成田享、丸山明好
佐藤征一郎、松田昌幸、志田忠正
前列左から、小谷慈明、小出健
北原文雄、朽津耕三
写真提供:松田昌幸
語り継ぎの足跡-3
高成田がホスト役となって 第3回ウーラント同"窓"会を 平成20年(2008)10月4~5日に石巻で開催し、平成28年(2016)5月27日には「和田みき子様博士号取得を祝う集い」を高成田の計らいにより日本記者クラブ(日本プレスセンタービル内)で開催し、第6回ウーラント同"窓"会となった。


第3回ウーラント同“窓”会

開催日:平成20年(2008)10月4-5日

会場:岩手県釜石市


写真提供:高成田享

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第3回「ウーラント同窓会」開催記念写真
後列左から
朽津耕三、松田昌幸、高成田惠、志田忠正
前列左から
北原文雄、小谷優子、小谷慈明
第3回「ウーラント同窓会」開催記念写真
後列左から
朽津耕三、松田昌幸、高成田享、志田忠正
前列左から
北原文雄、小谷優子、小谷慈明

第6回ウーラント同“窓”会

開催日:平成28年(2016)5月27日

会場:東京有楽町 アラスカ
日本プレスセンタービル内

写真提供 左:高成田享


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第6回「ウーラント同窓会」開催記念写真
後列左から 上野昌宏、松田昌幸、中山昇一
高成田享  
前列左から 朽津耕三、和田みき子、中村喜一
第6回「ウーラント同窓会」開催記念写真
左から 高成田享、志田忠正、中山昇一
語り継ぎの足跡-4
ウーラント同“窓”会[編]『「渡し」にはドラマがあった ウーラントの詩とレーヴェの曲をめぐって』2022年1月14日 荒蝦夷 刊 の全般とりまとめ役を務めた外、次の5編を寄稿した。

はじめに

第3章 投書がつくったドラマ
 3 記事資料室

第5章 それぞれの想い
 #11 時空を超えためぐり合い

巻末資料

あとがき