新設:2020-06-01
更新:2024-08-08
ウーラント原作「渡し場」を語り継ぐ人々
略 歴
(たかなりた とおる) 1948年(昭和23年)~
昭和23年(1948)2月19日 岡山市で誕生
昭和46年(1971) 東京大学経済学部卒業
昭和46年(1971) 朝日新聞社入社 以後
山形、静岡支局を経て経済部記者、ワシントン特派員
テレビ朝日「ニュースステーション」キャスター
アメリカ総局長(ワシントン)、論説委員など歴任
平成20年(2008)1月~平成23年(2011)2月 石巻支局長(定年を機にシニア記者として)
平成23年(2011)4月~平成30年(2018)3月 仙台大学教授
平成23年(2011)4月~12月 東日本大震災復興構想会議委員(復興計画作成に参画)
平成23年(2011)4月 「東日本大震災こども未来基金(同年8月 NPO法人)」理事長
【著書・共編著】
『近代日本の万能人・榎本武揚 1836-1908』『さかな記者が見た大震災 石巻讃歌』など多数
【参考Webサイト】
コラムニスト 高成田享の部屋
情報屋台
語り継ぎの足跡-1
佐藤征一郎は 平成18年(2006)5月28日に紀尾井ホールで開催された「第18回カール・レーヴェ全歌曲連続演奏会」の招待状を5枚松田昌幸に贈った。松田昌幸は、その内の1枚を小出健に贈り、一緒に「演奏会」に出席した。佐藤征一郎がドイツ語で「渡し場」を歌った。歌い終ったとき、小出健が突然立ち上がって、佐藤征一郎に向かって深々とお辞儀をした。
たまたま、会場で小出の後方座席にいた高成田享(当時、朝日新聞論説委員)が「何か訳がある」と感じ、同年7月2日に松田昌幸宅で小出健を交えて取材を行い、平成18年(2006)7月6日付朝日新聞(東京版)「窓
論説委員室から」欄に『「渡し」にはドラマがある』を、次のとり掲載した。
東京の音楽会で不思議な光景を見た。ドイツ歌曲を多く作ったカール・レーベの演奏会で、声楽家の佐藤征一郎(さとうせいいちろう)さんが「渡し」という曲を歌い終わった瞬間、客席にいた老人がすっと立ち上がり、佐藤さんに深々とおじぎをしたのだ。
かって、この渡し船に同乗した友のうち、ひとりは静かに、もうひとりは戦いの嵐のなかで死んだ。その友を偲んで、3人分の船賃を船頭に払おう。そんな歌だ。
50年前の朝日新聞に、この詩の作者を知りたいという投書が載った。それに対して「学生時代に学んだドイツの詩人ウーラントの作品だ」と応え、私訳を添えた人がいた。客席にいた小出健(こいでたけし)さん(78)だ。
小出さんがこの歌曲を知ったのは、投書のいきさつを聞いて、この詩に興味を持った松田昌幸(まつだまさゆき)さん(69)からだった。松田さんはウーラントの詩が好きだったこともあり、調べるうちに、この詩がレーベによって作曲されていることを知った。松田さんが日本カール・レーベ協会の代表でもある佐藤さんに連絡をとったことで、音楽会を知り、ふたりとも出席したという。
「最初から強烈な印象の詩でした。音楽会では、あらためて亡くなった友人たちを思い出しながら聴いていたら、自然と立ち上がってしまいました」と小出さん。
「この詩を調べるうちに、いろいろの人たちがこの詩にかかわっていることを知りました。たまたま渡しに乗り合わせた旅人たちのようでしょう」と松田さん。
「渡し」の話は尽きない。 (高成田享)
【参考Webサイト】
コロナの下 ドイツ歌曲を聴く from「情報屋台」
語り継ぎの足跡-2
「窓」の記事を読んだ志田忠正は、同年7月8日に高成田享に問合わせ、同年7月20日に高成田享と面会、高成田享の紹介で松田昌幸に同年7月22日連絡をとった。この間の同年6月3日に松田昌幸と丸山明好が虎ノ門パストラルで面会し、同年7月北原文雄は松田昌幸宅で小出健を交えて面会した。
以上の経過を踏まえ、朝日新聞の「窓」が媒介となった「絆」を深めるため、「第1回ウーラント同"窓"会」を同年8月16日に 高成田の計らいで プレスセンタービル内「アラスカ」で開催し、北原文雄、朽津耕三、小出健、小谷慈明、志田忠正、松田昌幸、丸山明好、高成田享が出席した。
高成田は 平成19年(2007)5月11日 学士会館で開催の「第2回ウーラント同"窓"会」にも出席
語り継ぎの足跡-3
高成田がホスト役となって 第3回ウーラント同"窓"会を 平成20年(2008)10月4~5日に石巻で開催し、平成28年(2016)5月27日には「和田みき子様博士号取得を祝う集い」を高成田の計らいにより日本記者クラブ(日本プレスセンタービル内)で開催し、第6回ウーラント同"窓"会となった。
第3回ウーラント同“窓”会
開催日:平成20年(2008)10月4-5日
会場:岩手県釜石市
写真提供:高成田享
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第6回ウーラント同“窓”会
開催日:平成28年(2016)5月27日
会場:東京有楽町 アラスカ
日本プレスセンタービル内
写真提供 左:高成田享
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語り継ぎの足跡-4
ウーラント同“窓”会[編]『「渡し」にはドラマがあった ウーラントの詩とレーヴェの曲をめぐって』2022年1月14日 荒蝦夷 刊 の全般とりまとめ役を務めた外、次の5編を寄稿した。
はじめに
第3章 投書がつくったドラマ
3 記事資料室
第5章 それぞれの想い
#11 時空を超えためぐり合い
巻末資料
あとがき
語り継ぎの足跡-6
ウーラント同“窓”会編『「渡し」にはドラマがあった』出版後、自然の流れとしてウーラントの「渡し場」が誕生した古里であるシュトゥットガルトのホーフェン地区を訪問したいとの想いが強くなり、翌2023年5月24日にウーラント同“窓”会有志としてホーフェンを訪問した
その時の記録写真は 次のページ「誕生2百年 ホーフェン訪問」に掲載しております