友を想う詩! 渡し場
魅せられ語り継ぐ人々
鶴田 禎二
新設:2012-10-17
更新:2022-10-31
ウーラント原作「渡し場」を語り継ぐ人々

略  歴
(つるた ていじ)  ~2015年(平成27年)

語り継ぎの足跡-1
山岡望の教え子の一人・鶴田禎二は、「化学と教育」43巻3号(1995年)の「周期律」欄で「山岡先生は生涯娶らず、明治、大正、昭和と狂瀾怒濤の時代を生きぬき、旧制高校(六高)の教授として新しい化学教育を創始・実践したばかりでなく、教え子たちとの全人間的な触れ合いに惜みなく一身を投じられた比類のない先生であった。」と記している。

「山岡望傳~ある旧制高校教師の生涯~」 山岡望伝編集委員会編(代表 鶴田禎二)
1985年11月1日 内田老鶴圃刊より
Ⅱ.操山のふもと 5.六高基督教青年会 5.2比類なき信仰の師の一部 P.144~145から抜粋


~略~
山岡が力を入れて、生徒に伝えたものに、一高時代新渡戸稲造から教えられた種々の話があった。新渡戸の話を中心に、キリスト教的人格の尊さが、山岡を通して、随時随所に、生徒たちに伝えられたのである。
~中略~
山岡はまた、ドイツのウーラントの詩 ”渡し場にて(あるいは渡江吟)”(Auf der Ueberfahrt)
をしばしば紹介した。この詩は、恩師新渡戸が常に愛誦していたものである。大意は次のとおり。
……幾年もまえに三人でこの河を渡った。夕焼も古城も川面のせせらぎも、凡てが当時のまま。だが二人の友はいまは亡い。そうだ、その交りは心と心の触れ合いだった。その意味で、われわれはいまも一緒だ。船頭さん、三人分の渡し賃置きますよ! いまは亡き友の分もどうぞ。
~略~